キスの理由(二)

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あたしは給湯室でお客様にお出しするコーヒーの用意をしていたときだった。 蓮君が使用済みのカップを引いてきてくれ、 「昨日はビックリしたねー」 と、話を振ってきたから今に至る。 「え、キス!? したの? アイツが? マジで? てか、いつの間にッッ!?」 昨日のことを話すと、 蓮君は後ずさりそうなほどのけ反って驚いた。 「しー、しーッッ! 絶対言わないでよ。 約束だからね」 「や、言わないけどさ……。 へえ……、アイツがねえ……」 あたしは話し始める前に、 誰にも言わないでねと切り出し、 蓮君は言わないと約束したのだ。 その時点で”何かあったな”と察したとは思うけれど、 流石にキスは意外だったらしい。 蓮君は流し台にもたれると腕を組んで顎を掴んだ。
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