キスの理由(二)

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「遅えから取りに来ただけだろ」 海斗君の目が、 トレーに乗せてあるカップに向いた。 コーヒーのことだろう。 不機嫌な目だ。 まだ用意が出来てないのか! とキレてもおかしくない。 慌ててカップにお湯を注ぎ、 フレッシュとシュガーを添えてトレーを手渡すと、 海斗君は無言で受け取って給湯室を出ていった。 「あー、ビビった。 アイツ、してないって信じたかな」 蓮君はお気楽な声だ。 あたしは流し台に手をついて、 ガックリとへこたれた。
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