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確かに、
あたしは人の目を見ながら平気で嘘をつけるタイプじゃない。
海斗君がカウンターへ予約表のチェックをしに来たときはトイレへ逃げたし、
休憩室への通路でも、
海斗君と出くわしそうになると引き返したりした。
蓮君が嘘を見抜いてくるのは当然だ。
あたしはコンビニ弁当を片付けつつ、
ため息を吐いた。
「今度こそ、ちゃんと別れ話をしようと思ったけど出来なかったの」
「え?
あー、不倫の彼氏さん?」
目で頷くと、
「今度は何で?」
と訊かれた。
「あたしの友達が結婚するの。
新婦はあたしの友達で、
新郎が彼氏の友達。
だから、あたしも彼氏も結婚式に出席するの。
いまあたし達の仲がこじれると友達が気にするから、
結婚式まで別れ話はしないでおこうと思って……」
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