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この言葉が決め手となり、
どーでもいい二人の言い争いはユウカのKO勝利。
ユウジさんはあたしの目の前でテーブルに突っ伏している。
「ま、でも嬉しいよ。
やっぱウェディングドレスは着てみたいし」
紅茶を運んできたユウカは、
コホンと咳払いすると少し恥ずかしそうに呟いた。
おめでたいことなのに、
それを心の底から祝福できない自分がいる。
あたしはユウカが羨ましいのだ。
いつか結婚したいという願望だけはあるのに、
それを現実的に考えられる環境にあたしはいない。
「おめでとう」
敗者が勝者にかける言葉だった。
ユウカは頭もいいし、
料理も掃除も完璧に出来る。
それにちゃんとした恋人がいて、
そして結婚する。
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