言えない

7/34
前へ
/34ページ
次へ
「なんだ、そうか。 さっきユウジからメール来てさ。 じゃあ、理子ちゃんの方が先に聞いてたってことか」 相沢さんはいつものように背広を脱ぐと、 ベッドを背もたれにしてローテーブルの前に座り、 シャツの胸ポケットから煙草を出した。 「相沢さん、出席するんですよね?」 「もちろん。 理子ちゃんも出席するでしょ?」 「うん。 あたしは友人のスピーチ頼まれちゃって……」 ああ、やっぱり……。 何で思いつかなかったんだろう。 友達なんだから相沢さんも招待するに決まってる。 「理子ちゃんが? ちゃんと出来る?」 「頑張るつもり……」 相沢さんは煙草に火をつけると、 「楽しみにしとく」 と、いたずらっぽく笑った。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

132人が本棚に入れています
本棚に追加