言えない

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*** 「はよーさん」 翌日、出勤早々ロッカールームで海斗君と鉢合わせた。 海斗君の方から先に挨拶をしてくるなんて珍しいことだ。 「あ……、おはよ……」 あたしはどんな顔をすればいいのか分からなくて、 急いで鞄をロッカーに突っ込むと、 逃げるようにしてその場を去った。 その現場を蓮君に目撃された訳ではないけれど、 それからもあたしはあからさまに海斗君を避けていたらしい。 昼休憩が重なったとき、 何かあったのかと蓮君に訊かれた。 「別に何も……」 「山ちゃん、嘘つくの下手すぎなんだからさ、 そんな言葉は通用しないって」
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