第1話「王様姫」

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 2台のバイクと3台の車が、春風と共に県道155号線を南に下っていた。  派手なハンドルの旧アメリカンのバイクが2台。  軽トラの荷台には小銃を抱えた子供たちが同乗していた。 「子供に運転なんぞさせてからに……大丈夫なんか?」 「運転はちゃんと教えてあるから大丈夫だ」  後ろに載せた坊主の質問に、アスマはバイクを走らせながら返事をした。 「わしのバイクは大丈夫かのう」 「クズテツは技術屋だ。バイクの修理だって出来る」  並走するバイクはもともとは坊主――黒墨子のバイクであった。  心配ならば自分で運転すればいいのだが。
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