第2章

12/40
前へ
/40ページ
次へ
「華ちゃーん、どーおー?調子」 部屋の外から掛かった声に次いで 扉が開いた。 「おかー……さん?」 「うん、お母さんよ?」 いつの間に寝てしまったのか。 体調を崩してしまった時のお母さんは妙な優しさがある。 いつもより特に優しい。 「ダルー」 「華、とりあえず休めば? 最近受験だ、なんだって勉強し過ぎじゃない?」 ちょっと、考えて うん、そーする、と頼りない返事をして また、枕に顔を埋めた。 頭がボーッとするし 何でか重怠い身体は 自分のじゃないみたいだ。 「じゃあ、ゆっくり寝てなさい」 「……ん」 もうビックリするくらい眠いのと 回る思考。 「……薬の副作用だな……」 どこかで聞こえる。 テノールよりも低く、バリトンより高い音。 「眠い?」 「うん」 答えているのはあたし? 「薬なんて飲まなくてイイのに」 「じゃあ、なんで渡すの……志の……ん」 フラフラと惑う無意識の中で 彼は、寂しそうに笑った。 夢だったのか 実際に会話を交わしたのか 覚えてない。 その後のキスは暖かかった。 ああ、現実か。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4369人が本棚に入れています
本棚に追加