第2章

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その暖かさを求めて 目を開けた。 すぐ すぐ側にいると思ったのに そこにいる筈の人の姿は無くて ガバッと起き上がってまで探す始末。 「……なに、やってんの?」 窓の外はもう、すでに夕陽の朱さが滲んでいて 冬がもうすぐ来るんだと思わせるように 風が枝を揺すり、木の葉を散らす。 ねぇ、あたし 昨日から何やってんの? おとうさんも、お母さんもすぐ側にいる あんなところで 自分からオニイチャンに仕掛けて 埋まり そして、あわよくば部屋にまで忍び込もうとして しかも 都合のいい夢まで見る。 「ありえないしっ、バカバカし」 身体の具合はすっかり善くなっていた。 怠さも 重さも消え きっと志伸さんの欠片さえももう無くなってしまっただろう。 これでいい。 志伸さんはこれでいいんだ。 だって いつも違う匂いがするんだよ。 あたしは 特別なんだって 特別って、何? ただ、志伸さんを順番待ちなく挿してもらえる それだけの特別。 そっか。
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