第2章

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大人二人がそこに立つと何処となく窮屈。 そんなに広くないスペースで志伸さんは車の鍵を持ってあたしを待っていた。 絨毯の敷かれたところから自分の靴に向かって足を伸ばす。 「一人で帰れるからいい」 靴に視線を落としながら必要以上に時間をかけて片方を履き 次はあっという間に履き終えた。 志伸さんが怒っている、という事は分かっていたがその度合いが更に増したのは明らかだった。 内心、笑いが漏れる。 「こんな時間に一人で出せる訳ねぇだろ」 「……いい」 すり抜けてドアを開けようとした、その手を掴まれた時あたしのナカで弾け飛ぶ火花。 「いい加減にしとけ」 掴まれた手を 今までにないぐらいの勢いをつけて振り払う。 空気が薄いと感じたのは狭い空間にいるからかなぁ。 違う。 あたしが興奮してるからだ。 どうしてくれるの志伸さん…… こんな風にした、責任 ちゃんと取ってよ。 振り返り見上げた顔が余りにも雄そのもので 魅入ってしまった。 あたしに“来るな”って言った事 後悔してよ。
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