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もう我慢できなかった。
彼を煽り、焚き付けている事に
どうしようもなく心が踊る。
こんなにまで思い通りに、あの、志伸さん、を捕まえる事が出来るんだと、ワクワクして
そして
ズクズクと疼いた。
笑いが漏れてしまう。
だけど、それを“ソンナ笑い”だと悟られなければイイだけ。
「こんな時間じゃ家にも帰れないし
別のところ行くから、送ってくれなくていい」
凄い、あたし。
どんだけ女優?
別のとこって、どこ?
笑いを堪えると、そのぶん彼を逆撫でする技に変わる。
「じゃあね、オニイチャン」
これ見よがしに何?
だけど
ここまでして、何も、何事もなく過ぎてしまったら
もう、終わりなんだけど。
それ、分かってる?あたし?
玄関は思いの外寒くて
だけど、興奮しているから顔だけが熱くて
変な感じがした。
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