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「華、遅刻するわよー?」
お母さんの声に反応すると
口の中のモノが全部出てしまう。
そんな苦しい……
いや、辛すぎる感覚に苛まれている。
暫くして
痺れを切らせたお母さんが部屋の外からノッキング。
「はーな、どうしたの?」
入るわよ、とドアをカチャリと開けた。
「やだ、なに?」
「……ん、気持ち悪……」
「あらあらあら、まぁまぁ」
お母さんが初めて慌てた素振りを見せた。
「どしたの?」
「ん……」
その
理由なんて
言えるワケない、よ。
「やだ、お腹の風邪かしら??」
「寝てれば、治るよ」
だから、お願い。
一人に、して…………
祈るように目を閉じて
口を噤んだまま、歯を噛み締めた。
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