第2章

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「華、遅刻するわよー?」 お母さんの声に反応すると 口の中のモノが全部出てしまう。 そんな苦しい…… いや、辛すぎる感覚に苛まれている。 暫くして 痺れを切らせたお母さんが部屋の外からノッキング。 「はーな、どうしたの?」 入るわよ、とドアをカチャリと開けた。 「やだ、なに?」 「……ん、気持ち悪……」 「あらあらあら、まぁまぁ」 お母さんが初めて慌てた素振りを見せた。 「どしたの?」 「ん……」 その 理由なんて 言えるワケない、よ。 「やだ、お腹の風邪かしら??」 「寝てれば、治るよ」 だから、お願い。 一人に、して………… 祈るように目を閉じて 口を噤んだまま、歯を噛み締めた。
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