第2章

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笑うと可愛いのね、とお母さんが言った。 青木君は長居をせずに帰っていき また、好印象を植え付けていく。 「青木君さ、モテる人なんだよね」 「だろうね」 「あたし、興味ないけど」 「ふぅん」 リンゴを剥いてくれたお母さんが あたしの前にお皿を置いてくれた。 シャリシャリの食感が歯に響くのが心地いい。 「華、体調、大丈夫そうね。 よかった、今朝は何事かと思ったから……」 額に手を当てて 熱の有無を確認する所作。 「ん?でも、熱、あるのかな? ちょっと微熱っぽい?」 体温計を直ぐ様持ち出し ケースから出してあたしに手渡す。 ピピっ、と鳴って知らせたのは 思いの外高い数字。 「あらあら、華ちゃん、やっぱり風邪のはしりかな? もう、寝てなさい」 どうしたんだろう、別にダルくもなんともないのに。 お母さんに心配をかけている罪悪感の元が元だけに 言われた通りに部屋に戻り マットの上に横になった。
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