プロローグ

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何度も呼び掛けて いるのにも関わらず この少女の意識は戻らない。 朝から救急車を 呼ぶなんて事は 絶対にしたくない。 何て事を考えていると、 春恵が私の方を見て言う。 「…蓮…私に良い考えがある…」 良い考え? でも梨香さんは 意識のない状態で 発見されたのにも関わらず、 何をしても、起きるはずない… 「…今起きると…背が伸びますよ~…」 「本当なのだ!?」 「…………」 …と、 思っていた時期が 私にもありました。 数秒前まで。 春恵はそのまま その少女の髪についたススを払う。 そこには翡翠色の髪を 頭の頂点で1つに縛った 春恵よりも小さな、 小さな女の子がいた。 この少女の名前は 月見里 梨香(ヤマナシ リカ)。 身長は、春恵よりも ひとまわり小さい135cm。 そして、私達よりも 1つ歳上の先輩である。 「…先輩、呼んでも意識がなかったから焦りましたよ!」 「ごめんなのだ。ちょっと薬品を間違えちゃったのだ♪」 先輩は、テヘペロ♪ という顔で私達を見る。 その目には 悪気がまったくない、 純粋な子供のような 目をしていた。 「危険な実験は、なるべく控えてくださいね?」 「…努力はするのだ…」 と、梨香先輩は 明後日の方向を向いて言う。 せめて、私達に 目を合わせてほしいものだ。
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