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そんな彼は名門貴族ヴォルスター家の長男ではあるが、既に長女である彼の姉が家督を継ぐ事が決定しているため、自由気ままそして奔放に遊び回り、貴族らしかぬ言動と行動で騒動を起こしまくる問題児である。
とは言ってもこと戦闘学においては学年トップクラスであるため、それを強く言える存在も少ないのだが。
しかし、とある事情で友人と呼べる存在が少ないレイナスに取っては気のおけない数少ない友人であり、ケイト自身もレイナスをレインという愛称で呼ぶため、彼らの中はそれなりに良好である事が窺える。
「そのままって…肝心な時に寝ても知らないよ?」
「大丈夫だって!いつも寝ないで夜遊んでんだから!まぁ、多分座学は寝るけどよ…」
「普段からもう少し真面目にすればいいのに…っていうか、ケイト教科書どうしたの?」
途中から合流してきたケイトと並んでレイナスは歩き出す。
二人は身長差があるために歩幅がだいぶ違い、ケイトがそれに合わせながら歩く形である。
「あぁ、それなら遊ぶ時に邪魔くさいから教室に全部隠してあるぞ?」
「全部ですか、そうですか。わかりました、もう何も言いませーん」
軽口を言いながら歩いていく二人は、身長差のせいで先輩と後輩に見えるが同い年である。
ケイトは何かを思い出したようにレイナスに問い掛けた。
「そういやレインよー、あれどうなんだ?召還の儀。ここんところ毎日専門書だのなんだの読み漁ってただろ?」
それを聞いた瞬間、無表情になるレイナス。
だがすぐに表情を作り直し、苦笑を顔に張り付けてケイトに向き直る。
「それはそうなんだけど…正直勉強すればするほど泥沼に嵌まっていく感じだよ…もう、ここまできたらどうにでもなれっていうか、無難な使い魔を召還出来ればそれでいいかなって」
「そっか…あ、なんか悪かったな?聞かない方がよかったか?」
頭をがしがしと掻きながらケイトは困ったように言う。
それに対し、レイナスは小さく大丈夫だと返した。
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