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「でもお前も大変だよなぁ。俺なんてほら、もう姉上様が家継ぐ事決まってるからそんなにプレッシャー感じてねぇけど、お前長男だもんなぁ…」
ばつが悪そうに顔をしかめながら話すケイトを見つめるレイナス。
ケイトは制服は着崩しているし見た目も派手、貴族らしかぬ言動と自由気ままな性格は確かに問題も起こす不良であると捕らえられる事も多いが。
実のところ、相手を理解して思いやりをもって接する、とても友人思いの人間なのだ。
それは身長の低い自分に合わせて歩いてくれることや、気遣うような言動からも窺える。
変な話、レイナスはそんな友人が好きだった。
「大丈夫だよ、ケイト。大変だと思ってるかも知れないけど、僕は大丈夫。ベリサリウス家を継ぐのは僕の使命なんだ…絶対に再興させて見せるよ」
「…そうだよな!レイン、俺はお前がベリサリウス家を絶対盛り上げてくれるって信じてるからな!」
「うん。期待してて」
顔を合わせて笑う二人。
そのすぐ先には学院の正門が見えてきた。
どう転ぶかはわからないが…今日が運命の日。良くも悪くもこの先の未来が転換する日だ。
不安の種は、ケイトとの会話にもあったように『召還の儀』である。
さぁ、期待は答える。想定は打ち破れ。
そう自分に言い聞かせると、レイナスは無意識に次の一歩を力強く踏み出した。
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