没落の名門《異界》運命の戦友

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ーーー少々時間は進み、正午が過ぎて昼食後の授業。 この時間、レイナス達四年生は全員、担任教官の点呼の下で学院の北側に配置された大広間に集合していた。 この大広間は学院内での集会や様々な行事で用いられる講堂としての役割を持つ。 それは非常に広い空間であり、壁や柱、そして高い天井には美しい装飾が施され、絵画や調度品の数々が飾られている。 更に広間の入り口から見た最奥の壁には一層美しく飾り立てられ、女神の姿が描かれたステンドグラスが色鮮やかに外の光を通過させ、広間の中はいつでも神聖な雰囲気を醸し出していた。 レイナスはその大広間の中、中心に近い位置でクラス固まって整列しており、隣には眠そうにしているケイトの姿もあった。 「やっべぇ、超ねみぃ…」 「ちょっと、しっかりしなよ…午前の授業散々寝てたじゃないか」 フラフラしているケイトをレイナスが叱咤する。 その前ではレイナスとケイトが所属するクラスの担任教官である女性、ミラ=セドリックがこれからの授業の指導を行っている。 ミラ=セドリック。 ほぼ貴族出身である、この魔法学院の教官勢において珍しい平民の出身でありながら、現役の学生時代から高い能力を発揮し、優秀な成績を修めた人物である。 几帳面に纏めた焦茶のロングヘアーと、気の強そうなブラウンの瞳に整った目鼻立ち、そして教官勢の制服であるアカデミックドレスと羽織った黒のローブの胸元を押し上げる、たわわに実った母性の象徴が男子生徒達の人気を集めている。 ケイトに関してだけは説教のされ過ぎで天敵となっているが。 「ベリサリウス!ヴォルスター!聞いてるのか?」 「あ、はい大丈夫です」 「うーす…」 「ふむ、ではベリサリウス。召還の儀と召還獣における要点を説明してみろ。簡潔にな」 会話を指摘された上、ほぼケイトの巻き添えのような形でミラから設問を受けるレイナス。 未だに大きな欠伸をかいているケイトを横目で睨むと、設問の回答を述べる。 「召還の儀は自らの魔力の波長に極めて近い存在を召還し、主従となる契約を結ぶ事です。通例、自らの最も得意な属性を持つモノを呼ぶことが多く、それは生命体であったり、魔導器のような無生物であることもあります」 あと。と、一度レイナスは言葉を切ってから再度口を開く。
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