没落の名門《異界》運命の戦友

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「俺とダチになってくれ!俺をお前の背中に乗せて空を飛んでくれ!大切なものを守るために、俺にお前の力を貸してくれないか!」 敬語や相手を敬う素振りすら見せず、誇り高い大鷲のガーゴイルに向かって叫ぶケイト。 その目には最早死への恐れは見て取れなかった。 再び、シンと静まる講堂内。 聞こえるのはケイトの荒い息遣いと、大鷲の羽ばたく羽音だけだ。 見守っているレイナス自身、速く脈打つ心音が耳障りになる程の空気の中で大鷲のガーゴイルはゆっくりと地面に降り立つ。 かなりの重量があると思われたジンだが、全く地面を揺らす事無く。 『いいだろう。合格だ。そなたを我が主…いや、友と認めるとしよう。私恐れない覚悟の宿った目…嘘偽りのない態度、気に入ったぞ』 威厳の中に僅かの優しさが滲む声でそう伝えると、己を見つめるケイトに向かってその頭を下げる。 『さぁ友よ、手を出せ』 「ああ」 ケイトは極自然な態度で左手を前に出すと、大鷲は翼から抜き取った岩石の羽根を手に乗せた。 羽根はすぐに魔力の赤い粒子となってケイトの左手の甲に集束し、片翼を模した契約印となって焼き付いた後、徐々にその光は落ち着いていった。 『契約、完了だ。以後はその契約印がそなたと私を繋ぐ架け橋となる。必要となれば私の名を呼べばよい。私はそなたの声に応えよう。此度の剣獣契約…楽しめそうだ』 ではな、と告げた大鷲は身体の周囲に荒々しく風を纏うと、その風が終息するに従って姿を消した。 彼が本来いた場所に還ったのである。
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