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ケイトがガーゴイルを召還し、無事に契約を結ぶ事が出来た時、普段ケイトを割けている同じクラスの生徒達はそれがなかったように歓喜した。
その時と一転変わった雰囲気の中、レイナスは生徒の視線を受けながら魔方陣に向かっていたが、やはりというかなんというか…想像していた通りの煙たがられる視線を感じる。
それを隠そうともしない貴族出身の生徒達に、一つの嫌らしさを感じる。
それはケイトのように彼等の予想を超える使い魔を召還し、剣獣契約を結ぶ事が出来れば解消するのだろうか?
(まぁ、多分無理だろうなぁ…)
ぼそぼそ、ひそひそと侮蔑と嘲笑の言葉を耳にしながらレイナスは考えを改める。
おそらく自分がケイトのように強力な使い魔を召還するなんてことを想像力している生徒は誰一人としていないだろう。
普段不良や問題児として扱われているケイトだが、戦闘学における成績はトップクラスのため、心の何処かではケイトが強力な使い魔を召還することを予想していた生徒は多かったのだと思う。
しかし、自分は貴族出身とはいえ落ちこぼれだ。
座学はともかく戦闘学の成績は平民出身の生徒にも劣るほどで、十分に魔法も使えないために万が一でも自分に期待している者はいない…と考えている。
現にレイナス自身も自信がない。
強いて言えば、ケイトは期待してくれているだろうが…あぁ、ダメだ考えれば考えるほど深みに嵌まってる気がする。
歩きながら悩みのスパイラル思考を巡らせていたが、結局今更悩んでもどうしようもないことに気付いて思考を止める。
(ケイトが言っていたじゃないか、全力でやれって…。それに自分自身、期待に応える、想定は打ち破ると叱咤したじゃないか)
今まで実現出来た事に覚えがない座右の銘であるが、レイナスはとある人物から伝えられたこの言葉を大切にし、日々努力を重ねてきたのである。
…その努力が日の目を見た覚えもないが、 今日こそは努力が実を結んでもいいじゃないか。
…結局頭であれこれ考えているうちに、レイナスはとうとう魔方陣の設けられた祭壇へと辿り着き、自分よりも10センチは背の高いミラと顔を合わせる。
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