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「これはこれは申し訳ございません。こちらが報酬でありますゆえ…どうぞ、お受け取り下さいませ」
泥がつくのもいとわず、その場でうやうやしく跪いた男性に差し出された封筒を近付いて無言で受けとるカフカ。
その厚みと中身を特に気にする風でもなく、着ていたロングコートの内ポケットに封筒を仕舞い込むと男性の横を抜けるように歩き出した。
(さて…)
そしてカフカが歩く事数歩、ある程度の距離となったところで男性は立ち上がり、再び胸ポケットに手を入れた。
「すいません、カフカさん」
「…何よ?…っ!?」
カフカが男の声に反応して振り返るのと、男性が振り返りつつ胸ポケットに納めていた拳銃をカフカに突き付けるのは同じタイミングだった。
突き付けられた銃口に戸惑いの表情を浮かべたカフカをその目に焼き付けた彼は、気味の悪い醜悪な笑顔で言い放つ。
「死んで下さいなぁ」
そして男は引鉄を引いた。
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