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「ここへ合った身の丈へ、してやれんでもないが?」
言うと彼女はぎょっと振り向いた。が、腕を組み、警戒するように睨む。
「取引きか。悪ィがそのテにゃ乗らねえよ」
「堅実なことだな」
「人外の力はホイホイ借りないことにしてる」
どんな裏があるかわかったもんじゃない、と口を曲げた。
しかし死神はそれも楽しむように笑んでいる。
「だが悪い話では無かろう」
「だな。それでも、あんたみたいなのの力は、自分でどうにもならないときだけ、最終手段として頼れって躾けられててね」
「ほう? 教育される程、人でないものが在る界から来たのだな」
しまったと刃は顔をしかめる。語るに落ちるとはこういうことか。
ゆったりと笑みを広げる死神を見上げ、ばつが悪く口をゆがめた。
「……部屋へ戻れよ。ここじゃあんた丸見えだ。免疫無いネェさんが帰ってきた日にゃァ大騒ぎだぜ」
ちらりと、雪空色の瞳がエリーズの部屋へ向くのを確認し、刃は自嘲のように笑ってみせる。
「あっちで、ちょっとだけ語ってやるよ。ドン引きするくらい、設定盛りすぎなオレ様の身の上を」
それが通じたかは分からないが。
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