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物心ついた頃には、盗賊団のなかで育っていた。
何人か子供も出入りしている、山の中に建った大きな家。
盗賊のアジトといっても綺麗な木造の屋敷で、昔は貴族の別荘だったらしく不自由することは無かった。
大人は、まだぎりぎり子供のような年頃から白髪頭の爺さんまで、10人程居た。
その中で、いちばん若い二人の家に住むようになったのは、学校に入る年頃になってからだ。
その二人は孤児で、自分もそうだと聞かされたのは、たしかその頃だった筈だ。とくに何も感慨が無かったのは覚えている。
「遠くじゃ戦もあったし。神さんなんざそこらじゅうに居るようなもんだったしな。
その気まぐれやらとばっちり食らう人間も、いくらでも居た」
そして、一緒に住むようになっていた子供と一緒に、初等科へ入学した。
「そこの魔法学の先生やってたのが、さっきのを言ったセンセ。オレの……なんだ、養母の、妹のダンナで」
卒業後に知ったが、養父はともかく、養母は元天使だった。創世神話にしか名前の出てこない、3人のうちの一人。
その妹も同じくだが、姉妹そろって、連れ添いができて以来「そういうのはもうやめた」らしい。
しばらくして、先生夫妻が、世界を造った女神の両親だと知った。
「聞いたことないだろ? そんな肩書き全部無かったことにして、ガッコの先生やってるなんざ。
…まぁそんなセンセから魔法のイロハをならって、そっちと全然関係無ェ偏屈師匠から剣を叩き込まれて」
盗賊団を継いだり相棒が失踪したり帰ってきたりと色々あって、自分も娘が出来た頃。
世界に穴があいた。
具体的に何がどうなっていたかはよく分からない。この世の終わりのような災害が次々起こり、冗談のように巻き込まれ、結局けりをつけることになった。
「フタよフタ。穴ァあいたから何か貼っとけってヤツ」
女神によって人柱のごとく封じられ、気がつけばこの家で目を覚ましていた。
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