2.どちら

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 さあ、どこから話そう。読んでくれるとありがたいなどと言った傍から脱線である。どこをどう話せば分かりやすく伝わるのか、語り部の俺は語りながらそれを考えている。話しながら整理しているわけだ。そういうわけでこれについても了承しておいてくれると嬉しいかな。決して読むのを投げ出さないでくれ。でもまあ、無理強いはしないさ。読む気がなくなったということは、語り部の俺がそれに相応しくなかっただけということなのだから。  まず話すべきは中島俊之についてだろう。しかし中島俊之がどんな人物かというのは、先に話し終えてしまっている。二、三行で済んでしまう人物評価。決してこれは彼の人生が薄っぺらいというわけではない。誰の人生だって要約すれば一言で済んでしまうだろう。生きていくというのは存外味気ないものなのだ、とちょっと生意気なことを言ってみたりしてみようかな。  中島俊之は死ぬ。突然で悪いがとにかくそうなる。最終的に中島俊之は死ぬんだ。これは、人は必ず死ぬものだというわけではなく、中学生の内に命を終えてしまうということである。早すぎる死、という奴だ。じゃあ不幸せだろうって?  いやいや結論を急ぎ過ぎるにも程があるだろう。中学生が亡くなりました幸せですか不幸せですかなんて、そんなの不幸に決まってるだろ。まあ中には、幸福だったという奴もいるかもしれないが。
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