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グラウンドのトラックは一周四百メートル。
そこを九十八周という事は約四十キロメートルを走らなければならない計算だ。
ほぼフルマラソンである。
「ははは、冗談……だろ?」
乾いた笑いと共にシュウゴがつぶやく。
流石に冗談だと思ったのだろう、他の訓練生の中にも走り出す者は一人もいなかった。
誰もが教官の口から「冗談だ」という言葉が飛び出すのを期待している。
しかし、次に教官が発したのは
「どうした、クソを漏らす前に走り始めろ!」
という絶望的な一言だった。
クボヅカ教官が本気だと悟った訓練生達は、ひとり、またひとりと諦めの表情を浮かべながら走り始める。
皆、ノリさんを恨みがましい目で睨みつけながら通り抜けて行く。
そして当のノリさんは、すでに半ベソだった。
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