プロローグ

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これらを皮切りに、日本各地で同様の事件が頻発。 いずれも錯乱した加害者が唸り声と共に他者へ噛みつき、襲われた被害者も加害者と同様の症状を発症するというケースだった。 厄介な事に感染した被害者が数分後には加害者となって次の被害者に襲いかかり、その被害者が次の加害者となる。 この症状を発症した人間の特徴は「異常な食人嗜好」と「痛覚の麻痺」の二点。 取り押さえようとした警察官がやむを得ず発砲した際、数発の銃弾を受けても平然と動き回っていたという報告も挙がっている。 その姿は有名なホラー映画に登場する不死の怪物に酷似していた為、彼らが「ゾンビ」と呼ばれるまでそう時間はかからなかった。 連日、多発するゾンビ事件はその感染経路が不明のまま発生件数だけが増え続け、世間が事の重大さに気づいた時には既に警察組織では対応不可能な所まで来ていた。
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