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「なんだこれ!?どこだここ?」
「いつの間にか扉も無くなっとるで!?」
二人して幻想的な世界に見惚れてしまっていた。
我に返って理解できる事は三つ。
一つ、僕達が住んでいた世界とは違う場所。
二つ、頬を抓って痛いかったから夢ではない。
三つ、さっき通った筈の扉が無い。
「これって不味いんじゃない?変なとこに来ちゃったし…」
ーようこそ…
「ここでおったらまた扉現れんかな…?」
ーようこそ…
「夕、なんか言うた?」
「いや、何も言ってないよ?」
ーようこそ…お待ちしておりました…
「え?誰の声?」
誰かの声が直接心に問いかけてくる感覚だった。
どこかで聞いたことがあるような、凄く懐かしい様な声。
「和にも聞こえるの?」
「ああ、どっかで聞いた事ある様な声や。でも思い出せん」
和も同じ様な感覚に陥っている様だった。
ー突然この様な世界に連れてこられて混乱なさっている様ですので…使いの者を向かわせました…それでは…
「使いの者?ここにも人がおるんか?」
「ここはどこですか?僕達帰り方が分からないんですけど!」
返答が返ってくる事は無かった。
どうする事も出来ずに立ち尽くすしかなかった。
ん?なんだ?視界の端で何かが跳ねたぞ?
『trick or treat!お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!』
小人だった。
『trick or treat!お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!』
「なんでやねん!まだ五月やん!」
さすが関西人!見ず知らずの訳のわからない小人の発言に反射的にツッコミを入れている!
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