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休み時間に入り、クラスの連中が各々の過ごし方で過ごしているとドタバタ走りながらこちらに走って影が迫ってきた。
「夕日!夕日!今月発売されたこの本がすごく良いんだよ!なんたってヒロインがすごい可愛い!」
こいつ、『冨浦 圭太』は見てくれはイケメンで頭にはバンダナ、耳には無数のピアスが付いている所謂チャラ男の部類。普段ならチャラ男とは接点のない僕だけど、圭太は別の話。
圭太は〈ライトノベル〉が好きな見た目とは真逆の趣味を持っている。
「夕日も絶対読んだ方がいい!これ貸すから読んでみて!」
「おぉ、分かった。週末に読んどくよ」
それからチャラ男達と購買に行く約束があるとまた風の様に走り去ってしまった。
「なんや、相変わらず慌ただしい奴やな…そういや夕ってそんな本も読むんやっけ?」
「本当に騒がしいよな…あぁ、僕も読むよ。ライトノベル」
僕は気になる本ならなんでも読んだ。有名作家の作品、圭太が貸してくれたライトノベルだったり、それこそ教科書に載るような作品まで。
「そういえば和、絵の方は順調?」
和はなんでも昔から絵を描くのが好きで「俺は人の心を震わせる絵を描く芸術家になるんや!」って入学最初の挨拶してた。
「それがあんましやねん。イメージが浮かばへん感じ?スランプやねん」
「最近まで絶好調だーって言ってたじゃん」
「絶好調はそんなに続くもんちゃうって。なら夕、ちょっと協力してくれへんか?」
珍しく和が自ら協力を仰いで来た。普段なら「自分の問題や」って和自身で解決しようとするのに。相当なスランプなんだろうな。
「僕に出来ることなら協力するよ」
「ほんまか!ありがとう!なら、週末遊びに行こうや!まだ来たばっかりでこの街全然わからへんねん」
「分かった。なら土曜遊びに行こう」
それが親友のためなら。そんな事を想っていた。
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