前進-2

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「私、整形してるの」 前、速鷹 薫にそう打ち明けたら、 ″ 俺はホンモノしか愛さない ″ 冷たく突き放されて、屈辱的な夜を過ごした。 顔が綺麗な男の人なんて きっと、皆 一緒だ………。 「MIHOちゃん、どこやったの?」 「え?」 タクシーを捕まえたまま、 土砂降りから 小雨になった夜の空気に震える私の頬に触れる潤平。 「瞼………二重にしたの」 そう答えた、私の だて眼鏡をスッと上に上げて、その偽りの目を覗いてきた。 「このくらい、アイドルの半分位はやってるよ」 「………バカにしないの?」 「俺だって、美容整形受けたことあるもん」 「えっ?!」 「お客サーん、乗るの?乗らないの?」 二人のやり取りを見ていた運転手がイラついたように乗車を促した。 「乗ります!」「あ、ご、ごめんなさい」 慌てて、二人後部座席に座ると、 タクシーは勢いよく走り出した。 「整形って、どこを?」 男のコもするんだ………。 「俺、右目の横におっきなホクロがあったんだよ。 そこだけ、なんか年寄りみたいだったからさー、レーザーで取ったんだよ」 潤平は、 自分の目の横を指しながら、私の眼鏡を再び外してそれをシャツの胸ポケットにしまう。 「………………?返して?」 「誰だって、コンプレックスはあるよ」 綺麗な男のひとは、 綺麗な女の人しか愛さない____。 「さっき、白くなったMIHOちゃんの唇に どうしても、 ………触れたかった」 14歳の時、 そう、 歪んだ観念を植え付けられた。 「大丈夫、タクシーの運ちゃんしか見てないから」 ………………そんな 私のファーストキスは、 「………カプチーノの味がする」 憧れていたカリスマモデルの、弟だった___
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