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「あ、ほんとだ、MIHOだ」
私に気付いたのは、高校生のカップルで、
インタビューに答える潤平のテレビ画面の隅に映る、静止画の私と
実物の私を見比べていた。
「本物、でかっ」「あれ、どこの制服だっけ?」
その不躾な視線には、
まだ、ちょっと 慣れてはいない。
ファッション雑誌に載るのと、
週刊誌に載るのでは、
こんなにも視線の色が違うんだ。
「愛理、出よう」
「え?まだ、買い物済んでないよ?」
「修学旅行のパジャマでしょ?
まだ、一ヶ月あるから」
____修学旅行、
嫌な思い出しかないよ。
「まだって、美穂と遊ぶこと滅多にないのにさぁ」
「休み合えば、もっと違うとこで買い物しようよ」
瞳と同様、
今の私だから、仲良くなってくれた友達。
大切にしたいけど、
ほんとの私を知ったら、
どう思うだろう?
買い物もろくにできずに、
1人マンションに戻ると、マネージャーの角野さんから早速電話がかかる。
「今、事務所の電話、
MIHOの出演依頼の仕事で鳴りっぱなしだよ」
タレントになるつもりはなかったけれど、
潤平の、
『手が出せないほど、純粋な子』
発言で、
読者モ デルから少 し成り上がった私の知名度が、更に広がることとなり、
「一番凄いのが、
″3℃ ″から ジュエリー部門のCMの依頼来てたよ」
私のモデルへの道は、
一歩、前進したかのように思われた。
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