前進-2

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「あ、ほんとだ、MIHOだ」 私に気付いたのは、高校生のカップルで、 インタビューに答える潤平のテレビ画面の隅に映る、静止画の私と 実物の私を見比べていた。 「本物、でかっ」「あれ、どこの制服だっけ?」 その不躾な視線には、 まだ、ちょっと 慣れてはいない。 ファッション雑誌に載るのと、 週刊誌に載るのでは、 こんなにも視線の色が違うんだ。 「愛理、出よう」 「え?まだ、買い物済んでないよ?」 「修学旅行のパジャマでしょ? まだ、一ヶ月あるから」 ____修学旅行、 嫌な思い出しかないよ。 「まだって、美穂と遊ぶこと滅多にないのにさぁ」 「休み合えば、もっと違うとこで買い物しようよ」 瞳と同様、 今の私だから、仲良くなってくれた友達。 大切にしたいけど、 ほんとの私を知ったら、 どう思うだろう? 買い物もろくにできずに、 1人マンションに戻ると、マネージャーの角野さんから早速電話がかかる。 「今、事務所の電話、 MIHOの出演依頼の仕事で鳴りっぱなしだよ」 タレントになるつもりはなかったけれど、 潤平の、 『手が出せないほど、純粋な子』 発言で、 読者モ デルから少 し成り上がった私の知名度が、更に広がることとなり、 「一番凄いのが、 ″3℃ ″から ジュエリー部門のCMの依頼来てたよ」 私のモデルへの道は、 一歩、前進したかのように思われた。
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