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「広める?あなたと速鷹氏の関係を?」
………この人………
頭、良くないのかな?
「そう、私はもう22歳なのよ。今からスタートで芸能界で有名になるには遅すぎるし、
HISEIDOが買収する前の未来化粧品のモデルになるくらいじゃ、浸透しないから」
エレベーターの中で、
過去に私を小馬鹿にしていた表情を包み隠して
すがったような目をしてくる高峰真優。
「いきなり、スキャンダルは、どうかな?って思いますよ」
「今に賭けてるのよ、
あなたが受ける取材の時に、何気にHISEIDOの御曹司と私が怪しいとか、ぼやいてくれないかな?」
この人を、知的な美しさで売り出すつもりでいる事務所は、
そんな噂困るとわかっているのに
「先輩を売るようなモデル、信頼されませんから、どうしても広めたいのなら、自分で匿名で売り込んだらどうですか?」
そんな安易な計画に
巻き込まれたくはない。
「じゃ、お疲れさまです」
エレベーターが自分の部屋の階に着き、
一応、軽く会釈して、真優の側から離れた。
真優の睨み付ける視線を感じながら
自分の城に戻る。
『やっと、一人になれた』
つくづく、この業界に、自分は向いて いないと感じる1日だった。
「MIHO 週刊誌にあげられちゃってるよ」
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