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未来化粧品や試写会関連以外の質問には、
フラッシュを浴びても ただ、頷いて、愛想笑いを浮かべて
それで、その仕事をやり過ごした。
『これで、お金貰っていいのかな?』
楽屋前で、角野さんが私を待っていた。
「着替えたら、HISEIDOの速鷹さんに電話かけて」
「えっ」
相変わらず不機嫌そうに、私に自分の携帯電話を渡した。
「MIHOが、軽率だから、きっとお怒りなんだよ」
「………………………」
薫に、私を叱る権利があるのだろうか?
着替えを済ませて、
角野さんの車に乗って直ぐに、着歴にある、【HISEIDO 速鷹氏】の携帯電話を鳴らしてみる。
変な緊張感があった。
「もしもし………あの、烏山です」
「お前、やってくれたな」
………この人、絶対、私の名前呼ばないんだよね。
「週刊誌のことなら………」
「どこまでやった?」
「えっ?」
あまりに、ストレートに聞いてくるから、顔が赤くなっていくのがわかる。
目の前で聞かれなくて良かった。
「………………あなたみたいに、
手は早くないですよ、あのひと」
あなたに、
私を押さえつける権利なんかないはずなのに。
「じゃ、今度聞かれたら全面否定しろ。
潤平にやられたモデル起用の商品なんか、売り上げに響くだろ。」
「………………やられたって」
「あのモデルに二人で会うんじゃない」
真優のように、
あなたにやられた私は、
まだ、
商品価値があるというの?
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