59人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
どうしても、女子の集団や、我が物顔でたむろしてる男子達を見かければ、
中学時代のイジメを思い出して萎縮しそうになるけど、
「あんなデカイ女、沖田君が相手するわけないじゃん」
萎縮しても、
そうは見られない長身と、
自信ありげに見えるだろう、派手になった顔立ちが
「う、こっち見た、やっぱ迫力!」
今の私を 理不尽なイジメや弱気な自分から守ってくれていると思う。
「美穂、ほら、美穂の番だよ。
総合コースの子達 にらんでないで!」
先に測定を終えた愛理が私を呼ぶ。
「にらんでないよ、別に」
私は
昔、何からも自分を守れなかった。
「スゴーイ、美穂!身体柔らか!」
「モデルだから、ヨガとかやってるんじゃないの?」
自分を励ましてくれる人も、自信もなくて、
ただ、
排他的に扱う人間の怒りに触れないように、
息を潜めていただけ____
「烏山さん、クライミング向いてるかもよ」
測定を終えた私に、見ていた沖田君が再び声をかける。
「そう……かな?」
その忘れそうな脅威が、
無くなってはいない事を忘れそうなほど、
今の私は、
偽りの鎧をまとっている。
「美 穂、ほら、テレビ見て!」
最初のコメントを投稿しよう!