前進-2

8/10
59人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
どうしても、女子の集団や、我が物顔でたむろしてる男子達を見かければ、 中学時代のイジメを思い出して萎縮しそうになるけど、 「あんなデカイ女、沖田君が相手するわけないじゃん」 萎縮しても、 そうは見られない長身と、 自信ありげに見えるだろう、派手になった顔立ちが 「う、こっち見た、やっぱ迫力!」 今の私を 理不尽なイジメや弱気な自分から守ってくれていると思う。 「美穂、ほら、美穂の番だよ。 総合コースの子達 にらんでないで!」 先に測定を終えた愛理が私を呼ぶ。 「にらんでないよ、別に」 私は 昔、何からも自分を守れなかった。 「スゴーイ、美穂!身体柔らか!」 「モデルだから、ヨガとかやってるんじゃないの?」 自分を励ましてくれる人も、自信もなくて、 ただ、 排他的に扱う人間の怒りに触れないように、 息を潜めていただけ____ 「烏山さん、クライミング向いてるかもよ」 測定を終えた私に、見ていた沖田君が再び声をかける。 「そう……かな?」 その忘れそうな脅威が、 無くなってはいない事を忘れそうなほど、 今の私は、 偽りの鎧をまとっている。 「美 穂、ほら、テレビ見て!」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!