恋とキズ

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「ち、違う、これはいつも持ち歩いてるの………突然来たら困るから」 なんて、説明、 この人にする必要があったのか。 「それが理由でキャンセルとかないんでしょ?」 こっちが赤くなりながら話すこと、 沖田君は日常会話のように淡々と続ける。 「……………ないよ」 実際、 薄着や白い服での撮影の時に生理になったら、 身体に悪いと分かってはいても、タンポンを使用して仕事に臨む。 「沖田君、普通こんな話、男の子は自分からしないよ」 「……………そう?うちの女子部員は部活サボりたい時の理由、 普通にそう申告してくるからね」 「サボりたいんじゃなくて、実際動くのもツラい人もいるんだよ」 「そのわりには、そのまま、ゲーセンとかいっている遊んでる女の子いるけどな」 …………スポーツとゲームじゃ、体の動かし方違うのに。 はっ! 生理の症状なんか話してる場合じゃない。 「じゃあね!沖田くん!」 撮影に遅れてしまう。 「あ、烏山さん!!」 走幅跳びでも出来そう勢いの私を、沖田君は大きな声で呼び止める。 「今度、勉強おしえてあげるよ!」 え 「?あー、うん、英語おねがいっ」 と、 返事しながら走り去ったけど、 私 ひょっとして、 バカと思われてる? いや、実際 かなり成績は酷いんだけど。 『あの人もデリカシーに欠けてるけど、潤平君 同様、いい子なんだよね』 この時は、 そんな位にしか、沖田くんのこと見てなかった。 私も、人を一面からしか見ないやつの典型だったのかも。 「遅刻厳禁って言ったよね?!」
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