恋とキズ

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スタジオ入りが、ギリギリになった私に注意してきたのは、 マネージャーの角野さん。 「今日はなんの親子がいたの?カルガモ?」 「す、すみません、テストちょっと押しちゃって………」 業界用語を使って謝ってみる。 「テストが押すわけないだろ? ほら、スタッフに謝っておいで」 水着の上から薄手のブルゾンを羽織って、プロデューサーや、カメラマン達に詫びてくる。 「良いんだよ、抜けられないテストだって聞いてたから。 一流の大学とか受験してくれたら、イメージアップできるんだけどな」 四十代後半位のプロデューサー、 お父さんより、年上かもしれない。 とても優しい目をして、 私の肩をポンポンと叩いてきた。 「屋上のプールに後で移動するから」 「はい」 以前、紅子がやっていた 黒い水着姿での鮮やかなCMを思い出しながら、 それでも、緊張ぎみに撮影にとりかかる。 「MIHOちゃん、泳げる?」
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