恋とキズ

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「………CM作る人が、こんな風にモデルに触れていいんですか?」 ………………また だ。 容姿が地味でも、 華やかになっても、 男にセクハラや、過剰なスキンシップや 性的虐待を受けやすい人間は、 あまり変化なく、その驚異に晒される。 「人気のあるカメラマンや、プロデューサー、スポンサーのお偉方と いい関係を作っておいたほうが、モデルやタレントは時間を短縮して、売れっ子になれるよ」 ………自分のことを、人気者だと言いたいの? 「私、枕とか、したくありませんから」 薫には、 手を出されてしまったけれど。 自分の膝を触るプロデューサーの左手を、スッと軽く払いのける。 CM製作がちゃんと終わり、それがオンエアされるまでは、トラブルを起こしたくはない。 「MIHOちゃんは、紅子の噂知ってるかな?」 払いのけたハズの手は、 今度は、私の肩や、髪、 首筋に触れてくる。 「………なんですか?病んでいたって話ですか?」 現在行方不明のカリスマモデルの紅子。 潤平の、腹違いのお姉さん。 私は彼女の光の部分しか知らない。 「あの女は、HISEIDOの社長の愛人だったんだ」
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