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「帰り、送っていくから」
「えっ?」
社長からの話が終わり、マネージャーの角野さんが私の肩を叩く。
「うっとおしいのいるかもしれないから」
「………あぁ」
学校や自宅にはまだ、記者とかは来てなかった。
世間的には、紅子の弟の潤平は知ってるけれど、
読者モデル上がりの私は 報道陣が群がるほど、まだまだ、知名度はない。
だけど、
「オンエアは秋から冬の間に始まるから、撮影はもう少しあと。
それまで、潤平と修羅場とかにならないでくれよ」
潤平と二人一緒の仕事が入ったとなると、どうしても、私の方まで、
マスコミが寄ってきてしまう。
十代の間でしか知られていない私が、
大人達に注目される時が、思ったより早く来てしまった。
「修羅場もなにも、ホントに、まだ付き合ってるわけじゃないので」
角野さんの運転する車は、
渋滞した都会の真ん中から、巧みに熟知した裏道を通って、
自宅まで送迎してくれた。
「会社の前だけで良かったね」
マンション前に、記者が居ないことにホッとして、
「ありがとうございました、お疲れ様でしたー」
「暫くは勉強に専念しなよ」
車のドアを閉めて、自分の階に向かう。
暫くは、といっても、
仕事が入ってない日が一週間。
その間に定期テストがあるので、ツイていると言えばツイている。
真優に遭遇しないで、さらにホッとし自宅に戻ると、
♪♪♪チロリン
早速 潤平からメールが来た。
【3℃の仕事のお陰で、公認カップルになれたね(^з^)-☆】
『顔文字が、チャラい』
私の気持ちなんてスルーしてるけど、
こんなメールも、イヤじゃない。
♪♪♪♪♪
今度は着信………
『潤平って、マメ………』
そう思って、携帯電話の着信画面を見て、
『………………!』
潤平じゃないことに、戸惑う。
______お父さん
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