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私は、
お母さんにも、
お父さんにも似てなくて
「お前は佐世保の川から流れてきたんだよ」
なんて、
よくありきたりの冗談を言うような両親でもなくて、
地味な顔立ちに生まれた私に
「お前は、俺の子供じゃないかもしれない」
そう言って、
まだ、初潮さえ来てなかった、
中学1年生になったばかりの私を
____一度だけ抱いたお父さん。
『役員なんて、好きな人がやればいいのよ』
あの夜は、
お母さんがPTAの会合で出掛けた夜だった。
『9時には帰るから』
そんな風に言っていたのに、
10時になっても帰ってこない。
そんなお母さんより、外で飲んで先に帰ってきたお父さんは、
珍しく、
………酔っていた………………。
『………母さんはまだなのか?』
『うん、おかしいね』
例え、
もし、万が一、
私が、お父さんの子供じゃなかったとしても、
『PTAなんて、嘘かもしれないな………』
『え?どうして?』
たった一度の行為であって、
実の親子間の大きな過ちだったとしても、
『昔から、綺麗なお母さんはモテていたんだ………』
外見にコンプレックスを抱いて暗かった私を
更に 歪ん だ闇の世界へ引きずり込んだのは間違いなくて………
『結婚しても、
いつも、心配だった』
『…………お父さん……課題あるから、出ていって』
大人の内に秘めた嫉妬や憎悪を、父親から垂れ流しされた私は、
『お前の顔を見てると、
おかしくなりそうだった』
心底、
生まれ変わりたいと、思うようになったの………。
お父さんは、
まだ、
ちゃんと膨らみきっていない私の固い胸に、
悲しみの体温を右手で押し当てて、
『お前は、きっと、
俺の子じゃない』
自分ですら
未確認で、未開発の女の部分を、
悲しいけど
理解できない理不尽な体液で
汚してしまったの
______″ お父さんなんか、
死ねばいいのに ″
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