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都内から外れた老舗ラブホテルは、
余計な装飾のない、シンプルな部屋で
私達を自然と睡眠へと誘っていく。
それに抵抗するように、
潤平が話をしてきた。
「…………どうして?」
「さっきの″一部 ″って言うのが気になって……」
潤平の体に覆い被さるように果てていた私、
睡魔が、少し遠慮がちに離れていく。
「まだ、早いよ……」
「え?なにが?」
まだ、
潤平には重すぎるよ…………。
「それ、傷つくな……」
アナタガまだ、若いからじゃない、
まだ、
私のいい部分しか見ていないから。
「私は、潤平のことを知りたい」
暗く、重い過去より華やかで、楽しい幼少時代の話を聞いていた方が、
幸せな気持ちになれるはずだもの。
潤平は、私をゆっくりと腕の中に落としてから、
半分眠むそうな私の顔に触れて、
優しく見つめる。
「俺、悪かったよ」
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