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「………………美穂、?冗談だから」
″ 禁断 ″ と言う潤平の言葉に、
蓋をしていた傷口から、新しい血が溢れだしたみたいに、
「………………美穂?」
涙が溢れだした。
カサブタの下に、新しい皮膚は再生出来なかったのかな?
どうせ汚いなら、
頑丈で剥がれないカサブタの方が良かった。
「話してよ」
半身 起き上がっていた私の肩を抱き、
耳元で、優しく囁く。
「どんなことでも知りたい」
私を抱き締める潤平の髪が頬に当たるとくすぐったくて、
傾きながら、ホテルの壁を眺めてると、
飾られたドライフラワー達が目について、
『ドライフラワーを飾る意味なんてあるのかな?』
と、
潤平の質問から遠ざかった思考が頭のなかをかすめていた。
美しかった頃の残像なんて、
誰も思い出さないのに。
「………………お父さんだよ」
「………………え?」
一度枯れたものを、まだ大切にするなんて、
執着して持ってるなんて、
前進欲がないのではないかと思ってしまう。
「私の初めての相手は
お父さんだよ」
____私も、
お父さんも………………………
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