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お父さんは、
綺麗なお母さんにも、自分にも似ていない私を、
お母さんの不貞の申し子だと思っているみたいだった。
事実は、
私が親子鑑定を受けない限り、
ハッキリとは分からない。
「………私は、ずっと、お父さんを本当のお父さんだと思ってきたよ」
血が繋がっていないなんて
思ったことない。
「………どんな気持ちで、娘抱けるんだよ?それ………何歳の時?」
私から少し離れるようにベッド脇に座っていた潤平は、
両手で髪をかきあげながら、
頭を抱えるように、いつもより細い声で聞いてくる。
「13………」
「子供じゃないか………」
今年、18才になる私は
大人ではないけれど、
自分が自立できそうな道を、逆境のなかで見つけることができた。
全ての要因が絡み合って、
それを ほどこうとした結果だから。
「その事に、負けたくないの」
私を裏切らないって、
潤平を信じたかったから、
つい、話してしまった。
「美穂を、どう見ていいか、どう接したらいいか、わからなくなった」
「当然だよ」
さっきまで、私を包んでいた体は、
とても寒そうな背中をしている。
「
………………ここを出たら、
少し、考えたい………」
元々、
紅子のことで悩みが尽きなかった潤平。
余計な心労をかけさせてしまったかな。
「………うん、気が向いたら、また連絡して」
震えそうな声に気づかれないように、
タオルで口元を押さえながら
バスルームに入る。
潤平の前では、泣きたくなかった。
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