闇

「MIHO、３℃の潤平とのCM共演なくなったから」

「え？」

KanKamの表紙撮影が終わり、角野さんのお迎えの車のなかで、
不安になる報告を聞く。

あの、他県ホテルで結ばれた夜から、

潤平から連絡はなくなっていた。

「………それは、潤平が断ったの？」

「まさか！モデルにそんな権限はないよ！」

エンジンをかけて、ミラー越しに私を、見つめるその目は、

「潤平とうまくいってないの？」

哀れんでいるようにも見えて、

ツラかった。

「………………」

「清い交際なんて、無理あったよね！

CMは、３℃側が潤平を使えないって言い出してきたらしいよ」

「どうして？紅子のこと？」

「紅子に使われた黒い金の行き先、潤平にも疑いの目がいってるからさ」

「………紅子の行き先さえ分からないのに」

見つからなくて、

悩んでた。

「あ、それで、HISEIDOの社長辞任して、
速鷹 薫に後任されるらしいよ。
海外メーカーの買収の好益が評価されてるって」

「………そうなんだ」

それは、あまり良く分からない世界だから………。

ますます、

潤平との繋がりが、なくなってしまったような気がして、

それどころじゃなかった。