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「こんな遠い所までヨガ通ってたんだ、待っていようか?」
「いえ、大丈夫です。タクシーでも帰られるから」
「それじゃ、今日のギャラ、パアじゃないか」
「………いいんです」
薫に教えてもらったヨガ教室。
仕事帰りに行くと、
いつも、営業時間ギリギリいっぱいの利用となってしまう。
クライミングの方を覗いてみると、
薫の姿はなかった。
『社長就任で、それどころじゃないよね』
「あ、烏山さん、こんばんは」
ヨガの先生がまたしても、豊満なボディ露なレオタードで出迎えてくれた。
ここにいる男性利用者って、絶対先生目当てだよね。
そう思うほど、先生へ注がれる男性達の視線が熱烈で、
そこに入っていく勇気が出ないほど。
「モデルのMIHOさんだよね?」
その先生信者の一人に声を掛けられる。
「………はい」
「何で、いつもジャージなの?体型わかんないじゃない?隠してるの?」
人に見せるためにやってる訳じゃない。
全てモデルの仕事にプラスになるようにだ。
「少し、痩せたな」
え
股関節を柔らかくするヨガを繰り返していた私に、背後から声をかけてきたのは、
「速鷹さん……」
HISEIDOの新社長となった、薫だった。
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