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「…………そうですか……」 言い方は、悪いけど 私、紅子ともキョウダイだったんだ。 「じゃ…………」 何だか、噂通りだった現実にガッカリして、そこから立ち去ろうとしていると、 「お前は、潤平にも惑わされず、 紅子を越えるつもりで歯を食いしばれ」 「………………え」 以前、 紅子に言われたようなことを、 薫に言われてしまった。 ″ 男に惑わされてはダメよ ″ ____潤平に惑わされる? あんなに優しい人なのに?。 意味を良く理解できないまま、 発進する薫の車を見送ってから、エスカレータの方へむかう。 …………潤平が、 私を受け入れてくれてたらいいな。 コツコツと、ゆっくり、真っ直ぐに マンション自宅階を歩いていくと 薫が見たという、スーツを着た男の後ろ姿があった。 私に気付き、振り返ったその顔は、 「……美穂…………」 潤平…… じゃない、 大阪にいるはずの、 お父さんが来ていた______
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