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「美穂……」 数年ぶりに見るお父さんは、 やっぱり、少し年をとっていた。 「どうしてここが……?お母さんに聞いたの?」 それでも、懐かしいとか、もちろん嬉しいとかいう感情は湧いてこないし、 「管理人に父親だと言ったけど、部屋は開けてくれなかったよ」 むしろ、薄れていた嫌悪感が増すばかり。 「都合のいい時だけ、父親にならないでよ」 「だから、今日はハッキリさせるために……」 「帰って!」 「美穂!」 戸惑いを隠せない私の肩をお父さんが掴んだその時____ ガチャン!! 「ね、今、何時だと思ってんの?!」 私とお父さんの声を聞いて、 初めて見る隣の部屋の住人が玄関から顔を出してきた。 三十代の女性だった。 「す、すみません」 「芸能人が多いマンションって言ってもほとんどは一般人なんだから気を付けてよ!」 バタン!! そうだ…………ここには、 高峰真優や新人タレントなどの、そう収入が多くはない芸能人が住んでいる。 「…………とりあえず、入って」 「美穂」 「でも、絶対に触らないで」 外で揉めて マスコミの餌食になる可能性は充分ある。 「わかった」 お母さ んが知らない、お父さんとの過ち___ お母さんが知ったら その時は、 私は________
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