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「電話でも話したけど、もう一度頼みに来たんだ」
部屋に入るなり、
土下座をするお父さん。
「やめてよ……」
コーヒーを入れようとした私は、その手を止めてお父さんの傍に寄る。
「…………あれから罪悪感が消えた夜は、一度もない」
後悔の毎日を過ごしていたのは私だけじゃなかった。
「じゃ、どうしてあの日、
軽はずみなこと、しちゃったのよ?」
軽はずみじゃないこと位、
分かっているのに、
攻め立てたい言葉がうまく見つからない。
首をひたすら横に振って、
頬さえ濡らすお父さんは、
「モデルになって、輝いているお前を見たら、
親子じゃなければいいのにって、
そう思うようになって」
ドクン!!
と、
大きく揺れ始めた心臓が痛くなったと同時に、
私は
少しお父さんの身体から離れる位置に座り直した。
「私は、あなたの娘です」
血の繋がりがあろうとなかろうと、
あなたを、
男としてなんか、
見ることはできない。
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