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「鑑定結果が出たら、また、連絡するから」
お父さんは、
ずっと無言の私の髪を少し撫でると
服を着て、宿泊してるホテルに帰る為に、タクシーを呼んでいた。
「じゃあな、美穂」
…………お父さんは、
私の背中の傷を見ても、
何も言わないんだね。
____自分が残した痕なのに。
『明日、学校なのにおそくなっちゃった……』
裸のまま、お風呂場へ向かおうとして、
リビングの隅に何か落ちているのに気づく。
『ガラケー……』
お父さんの仕事用の携帯電話だった。
″ あんな男のモノなんか知らない。″
そう思ったけど……
『また来られたらイヤだな』
ロングティシャツを慌てて被って、
それを持ってマンションの部屋から後を追うように飛び出した。
「……エレベーター、使用中か」
すぐ側の階段を降りることにする。
カンカンカン……
サンダルの音が真夜中のマンションに鳴り響く。
……明日、また、苦情がくるかもしれない、
そんなことを思いながら少し速度を落として踊り場に降りて……
何か、
置かれているのに気づく。
靴……?
これ、
更に
階段下を見ると、
誰かが
血を流して倒れていた。
______うそ…………
「お父さん!?」
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