闇-2

6/6
前へ
/6ページ
次へ
「鑑定結果が出たら、また、連絡するから」 お父さんは、 ずっと無言の私の髪を少し撫でると 服を着て、宿泊してるホテルに帰る為に、タクシーを呼んでいた。 「じゃあな、美穂」 …………お父さんは、 私の背中の傷を見ても、 何も言わないんだね。 ____自分が残した痕なのに。 『明日、学校なのにおそくなっちゃった……』 裸のまま、お風呂場へ向かおうとして、 リビングの隅に何か落ちているのに気づく。 『ガラケー……』 お父さんの仕事用の携帯電話だった。 ″ あんな男のモノなんか知らない。″ そう思ったけど…… 『また来られたらイヤだな』 ロングティシャツを慌てて被って、 それを持ってマンションの部屋から後を追うように飛び出した。 「……エレベーター、使用中か」 すぐ側の階段を降りることにする。 カンカンカン…… サンダルの音が真夜中のマンションに鳴り響く。 ……明日、また、苦情がくるかもしれない、 そんなことを思いながら少し速度を落として踊り場に降りて…… 何か、 置かれているのに気づく。 靴……? これ、 更に 階段下を見ると、 誰かが 血を流して倒れていた。 ______うそ………… 「お父さん!?」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加