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昨日、薫に会いたいと言うから、
ジムまで案内したのに、突然姿を消した潤平。
「速鷹の家に泊まっただろ?」
…………ずっと見ていたというの?
「……家に警察が来てたから……
ね、どうして、昨日途中でいなくなっちゃったの?」
「事務所の人の家にって、メールで言ったよな?」
「潤平!先に私の質問に答えて」
色んな事があって、
あなたが、わからないよ。
「……速鷹に姉さんの事を聞きたくて確かにジムで待ってたんだ。だけど」
「だけど……?」
先ほどまでの車の前を通っていた生徒達の姿はなくなり、
グラウンドの方から聞こえる掛け声と、
体育館からのボールの音が微かに聞こえるだけになる。
「あいつと、美穂が、マットの所で重なったり仲良くしてるのを見てたら、
……そんな事どうでもよくなって」
「え……」
潤平の冷たい呼吸だけが、
私の耳に侵入してくるみたい。
「あれは、アクシデントよ」
「わかってるよ」
あなたの事、誤解していた。
「俺は、美穂のお父さんを突き落としておいて、それでも、
まだ 美穂の彼氏でいたいんだ」
潤平は、
寛大で、
強い人______
「…………潤平……」
そう、思っていた。
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