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「この部屋 一番高いんじゃないんですか?」
こんなホテルの部屋に泊まったことない。
窓からは、
汚れた空気が嘘のような、
宝石箱のような夜景が一望できる。
「君と仲良くなりたかった彼らもここにいるはずだったからね」
美容整形の権威、大塚氏は、
それを想像して鳥肌が立ちまくりの私を少し微笑んで見ていた。
「なぜ、私を選んだ?」
出演する人気番組のスポンサーで、
整形に携わり、
HISEIDOの幹部とも交流がある。
____きっと、何か知っている。
「さっきも言いましたけど、優しそうだったから……」
ソファーに腰かける大塚氏は、
何がおかしいのか吹き出して笑っていた。
「私は優しくなんかないよ」
適当な発言だったけど、
私の直感だった。
「S気質がなきゃ、女の健康な体にメスなんか入れられないからね」
「……それは、あなただけでは?」
私も二重瞼の施工を受けたけど、医師は普通の人だった。
「そうかもしれないね」
立ちっぱなしの私に、やっと、性的な視線を向けだした男……
「何かお喋りしながら、服を脱いでごらん」
初めて遭遇する人格を見せ始めた。
″ お喋りって… …″
私の直感を、確かめてみよう。
私は、
アイドルグループの衣装のような、
セーラー服仕立てのワンピースの横ファスナーを下げて、
勇気を出して、ストレートに聞いてみた。
「速鷹 薫の整形をしたのは、
あなたですか?」
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