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「この中なら、あなたがいいです」
番組プロデューサー、
HISEIDO幹部の男、
大塚クリニックの医院長。
枕をしないと、生き残れないほど私の力が不足しているというのなら、
「え?わたしか?」
「あなたが、一番優しそうだから」
____本能で、リスクの少ない、
メリットがありそうな雄を選択するのも、
それも、芸能界では必要なのかもしれない。
「新人モデルが、選ぶ権利なんかないぞ!」
私に赤ワインをかけられた黒川は、
顔まで真っ赤にさせて、
大塚クリニック医院長の背中に隠れる私の腕を再度掴もうとして、
「今日は、そうさせてやれば?」
HISEIDOの男に阻まれてしまっていた。
「なんだよ?そんなら、はじめから星野の方に行ったのによ!」
納得いかないのか、黒川は私を憎たらしそうに見つめて
先にその場所を出ていってしまった。
廊下から
「あっ?!もしもし?俺もそっちに混ぜてもらっていい?!」
どこかへ電話する黒川の声が聞こえて消えて、
HISEIDOの男も
私を忌々しそうに見つめる。
「もう、速鷹家のHISEIDOは終わりだ」
そんな、
不穏な言葉を残して____
「得したな、さ、
行こうか。スイートルーム取ってある」
私は不安を増大させたまま、
大塚クリニック医院長から、触れられる事もなく、
すんなりと最上階の部屋に入室してしまった。
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