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「紅子、【エルス】の撮影終わったら、次HISEIDOの新商品の打ち合わせね」
「はい」
一流ファッション雑誌【エルス】の撮影と、軽い取材を受けてから
最近専属になった化粧品メーカーの新作のイメージを打ち合わせに出向く。
日本を代表する化粧品メーカーは、
とにかく宣伝に大きなお金を注ぎ込む。
それが品質劣化の要因だと囁かれていても
その営業方針は永年変わることはなかった。
「お疲れ様です」
「あ、紅子、今日スッピン?」
だからこそ、
HISEIDOが起用するモデルは【一流】でなければならない。
専属としての依頼が来たときは、
海外デザイナーズコレクションの出演依頼が来たときと同じくらい嬉しかった。
「ええ。さっき奇抜いメイクで撮影したので」
「それいいね!それも含めてイメージ考えてみよう」
プロデューサーもカメラマンも価値あるモデルとして、私を大事にしてくれていた。
「あっ……社長」
「え?」
突如現場に現れた、
とても、厳しく貫禄がありそうな、
強面の初老____
ワンマン経営が有名な
この、
HISEIDOの社長にとても好かれていたのも知っていた。
「紅子、今日もキレイだね」
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